もしも日本がウォーキングデッドの世界になったら

もしも日本が海外ドラマ「ウォーキングデッド」の世界になったらという妄想終末世界ブログ。

2.迫り来る恐怖

 

 

 

実家までは100km弱。

車なら約1時間半ほどだ。

 

避難する人たちの渋滞のピークは
2日前~昨日として

 

でもまあ、この事態だし。
外はクラクションも聞こえるし。

僕のように避難を遅らせた人もいるかも。

 

まだ市内や高速道路は若干渋滞していると踏んで


到着に最悪夕方までかかることは覚悟しておいた方がいいかなと思っていた。

 


この時は。

 

 

 

 


まず

この数日の危うい状況から察して
あらかじめ買い溜めしていた保存食やペットボトル飲料と
常備食の菓子パンや晩酌用のつまみ菓子を。

 


温くなった冷蔵庫から
飲みかけのお茶、実家に帰ってからゆっくり飲もうと缶ビールを取り出してリュックに入れた。

 


こういう時、独身一人暮らし男の冷蔵庫は
処分しておくべき生ものが少なくて助かる。

 

 

その他にも
数日分の着替え、歯磨きや洗顔料、
使えないとわかっているけど、いつ復旧しても良いようにスマホと充電器も。

といったいわゆる「お泊りセット」。

 

電気などが復旧するまで必要だろうから
懐中電灯とライターも。


通帳や印鑑、財布などの貴重品も入れた。

 

 


そして半信半疑ではあるが
SNSなどで事前に知った事態の状況から
念のため「武器」となるようなものとして、


包丁をタオルで包んだ。

 


すでにいっぱいになったリュックは諦め

これらはキャリーケースに詰めた。

 

 

 

 

玄関から出る前に、下駄箱に立てかけてある

ビニール傘と、埃をかぶったシャベル(東日本の方じゃ「スコップ」らしいけど、、)

ま、とにかく、傘と雪かき用(西日本の雪国と言われる地域の必需品)の鉄製のシャベルをなんとなく手に取った。

 

 

 


アパートのドアを開けた。

窓ガラス越しに遠く聞こえていたクラクションの音が、少し大きく聞こえた。

 

 


大荷物を車の後部座席やトランクへ入れ、
いざ帰路へと車を発進させた。

 

 

 

 

運転しながら様々な光景が見えた。


ここぞとばかりに、儲けようとお店を開けている個人商店。
買い求めるためにそれに並ぶ人たち。

 

コンビニや少し大きなスーパーマーケットは
閉店しているようだが、店内の様子を伺うように店外をうろつく人たち。


中には、ガラスが割られ、品薄の店もあった。

焦った人たちの接触事故や言い争いの喧嘩。

 

たった2、3日で物騒な街になってしまったようだ。

 


そんな物々しい街中でも、出動している警察の姿はなかった。

 

 

いくつかの小さな渋滞を抜けて
ようやく高速道路の入り口が近づいた。

 

インターチェンジはETCも発券機も機能しておらず、素通り状態のようだ。

 


いいのかな?
と、なんとなく不安になりながらも
車を走らせ続けた。

 

 

 


順調に高速道路を進んでいたが、

突然大渋滞に捕まってしまった。

 


無理矢理、反対車線にUターンする車まで現れ

そのうち、反対車線までも渋滞となった。

 


10分20分、1時間、2時間経ってもほぼ動かない車の列。

 


しびれを切らした人々が、車から出て来て

先の方の様子を伺ったり、
車を残し、荷物だけ持って車の隙間をぬって高速道路を歩き進み出す人まで。

 


数時間車内に閉じ込められたことで
体調を悪くする人。


持病の発作で倒れる人。
それを助けようとする人。

 

 


混乱の渦は次第に大きくなり


怒号やクラクションが鳴り響く。

 

 

 

 


そして、怒号はいつしか

悲鳴や叫び声に変わっていった。